羽毛布団

2026.04.20

「絶対に失敗しない羽毛布団の選び方」は存在しない、という話

手で触っている羽毛布団

2019年1月初旬、東京都にお住まいの方から「羽毛布団の購入を検討している。相談に乗ってほしい」というメールでのお問い合わせをいただきました。

現状をお伺いしてみると、

東京でマンション住まいです。室温は、起きるまでの最低はわかりませんが15.0度まで下がってます。以前は暑がりでした。

羽毛布団に詳しいわけでもなく、寝比べるような環境もなく、仮に数日使った程度で納得できるようなものか?買ったけど残念だったから使わない、にしては高価な買物ですので・・・。羽毛布団の購入に一発勝負感が強すぎて悩みまくりです。

ノーリスク・ハイリターンを望み過ぎなところもありますが、手持ちの羽毛布団も限界を突破しつつあります。手持ちの羽毛布団は25,6年前に実家から「安かったから買った」とだけ聞かされたTUK製(東洋羽毛)。表示タグは完全に真っ白で詳細不明。3x4マスで中央縦の縫合が解けたのか羽毛はU字型に偏る。カバー込みで3.6kgです。

寝る前に布団を振って中央に羽毛を寄せるとその時だけ暖かいですが、それも面倒になり寒いけど寝ちゃえみたいな状態です。未練は無いので新調後は破棄予定です。

という詳細をいただくことができました。かなり具体的な状況をお聞かせいただくことができて非常にありがたかったです。

羽毛布団の購入が一発勝負のように感じてしまい悩みまくっている・・・。

寝具の選び方が分からない、どれを購入すれば良いのか迷っている、というご相談はとても多いです。羽毛布団のみならず、枕やマットレスなども同じくではありますが、種類が多すぎる、値段の幅が広い、商品ごとの差が分かりにくい、詳しい説明をしてくれる店がない、などが大きな要因として挙がります

せっかくご購入されようとしているお客様が悩み苦しんでいるという事実は私たち寝具専門店にとっての大きな課題です。なんとか解決していきたいと切に思います。

絶対に失敗しない羽毛布団の選び方って何?

羽毛布団を購入するとき、ほとんどの方が一度はインターネットもしくはAIで検索して、購入に至るための情報を探します。「羽毛布団 選び方」とか「羽毛布団 おすすめ」とか、キーワードを入れれば羽毛布団の購入について指南してくれるページがわんさか出てきます。なかには「絶対に失敗しない方法!」と銘打つ情報も目につくはずです。

そのなかに書かれていることの多くは、

①ダックとグースの違い

②羽毛の産地についての見解

③ダウンパワーの優劣、ゴールドラベルやエクセルゴールドラベルなどの説明

④生地について・綿なのかポリエステルなのか、織り方の違い

⑤仕立て方、キルティング、羽毛の量

といった説明が内容のほとんどを占めます。どの記事も似たり寄ったりです。

読み進めていけば「なんだかんだでグースダウン。できればポーランド産やヨーロッパ産が良いよね。そんでもってダウンパワーの数字が高い羽毛が入っていて、綿100%の生地が使用されていて、手で触ったら弾力感がある羽毛布団がおすすめ!」というような結論になる。あとは西川製が良いかもとか、ちゃんと日本製のものを買った方が良いよ、などの補足が入る形ですね。

確かにその結論は正しく、羽毛布団を選ぶうえでの目安にはなります。

しかしこの結論だけで幸せになれるひとってどれだけいるんだろう。と私は不安になります。

この結論通りに商品を選んでいくと、マザーグースダウンなどの保温力の強いダウンが第一条件として候補に入ります。羽毛布団はしっかりとした保温性を求められることが多いので、羽毛量は1.2kg入りや「増量タイプ!」と説明されるものがなんとなく魅力的に感じるかもしれません。

でも、それはもしかしたら暑すぎるかもしれません。あなたのお住まいの地域・住宅では保温性能が過剰に働くかもしれません。

羽毛布団が暑くて使いにくい、と感じているひとはどんどん増えています。

暖かさよりも大事なこと(個人差あり)。

手のひらで羽毛を包み込む

今回お問い合わせをいただいたお客様の情報を整理します。

  • ・都内在住の男性。
  • ・マンションにお住まいで、寝室の温度は冬でも15℃ほどにコントロールされている
  • ・もともと暑がり体質。
  • ・25年以上前から使用している羽毛布団が限界寸前まで傷んでいる。

という状況です。

羽毛布団の買い替えを検討しながら調べていくうちに、東京西川製の羽毛布団(ポーランド産ホワイトグースダウン使用)が購入の第一候補に挙がったそうです。

しかし、自身が暑がりであること、寝室もそこまで寒くないことから、これを買ってもし暑すぎたらどうしよう、10万円から15万円ほどの購入金額が無駄になってしまうのでは・・・と不安になってきたそうです。

そこで当店に相談メールを送ってみた、というのがお客様の流れです。

東京西川、もとい西川の商品自体はとても良いものですので、購入をしっかりオススメできます。創業450年を超える、老舗寝具メーカーです。

注目すべきところは、このスペックの羽毛布団を使ってお客様が果たして快適なのかどうか、ということ。ポーランド産ホワイトグースダウン93%の原料を1.2kg使用しながらしっかりと保温性を実現するものを購入されようとしているので、冬用タイプですから保温性を重視する方にはmさしくぴったりです。

一方そこまで保温性を重視せず、軽さとか着心地を羽毛布団の魅力として捉えている今回のお客様にとってはちょっとやりすぎかもしれないです。

オーダーメイドでお仕立てする羽毛布団。

ポーランド産ホワイトコウダ種・マザーグー

<オーダー内容>

  • サイズ :シングルサイズ(150×210cm)
  • 羽毛原料:ポーランド産ホワイトコウダ種・マザーグース
  • ダウン率:ダウン95%・フェザー5%(DP440相当)
  • 羽毛の量:800g
  • 使用生地:綿100%100番手・平織りバティスト(1㎡あたり85g)
  • キルティング:たて6×よこ5マスキルト 8cmマチ

参考価格:154,000円(税込)

色々お話してみた結果「自分にぴったり合いそうな羽毛布団をつくってください」とご注文を受け、出来上がったのがこちらです。オーダーメイド。

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課題だった羽毛原料についてはポーランド産ホワイトマザーグースダウン95%を使用することにしました。マザーグースを使用した理由は保温力を考慮した訳ではなく耐久性を向上させるために、という意味合いが強いです。大きくて成熟したダウンの方が壊れにくいので、長年使用してもヘタリにくいという事実があります。

入れる量は800gと冬用にしてはかなり少な目。だけど今回のお客様にはこのくらいのボリューム感がちょうど良いと考えました。

900gにしようか迷いましたが、もしこれ一枚で寒ければうす~い毛布やケットをプラスして調整すれば良いわけですよね。保温力を高くしすぎるよりも軽やかな着心地を重視しながら、冬だけでなく春や秋にも気持ち良く使えるような羽毛布団を目指しています。

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生地はもちろん綿100%。平織りで軽量、通気性の良いタイプですので今までよりもムレ感を抑えて快適に。

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羽毛のパワーや品質についてはあえて説明することもないでしょう。洗浄をきちんと行っているとか、ホコリをちゃんと取り除いているとか、産地偽装はないですよとか。そんなことを売り文句にする必要はありません。だってそれは当たり前のことですから。

使ってみてちゃんと安心できるか。長く愛用していただくことができるのか。

こういうことが寝具選びにはとても大事です。こと細かい条件を比べがちな世の中だからこそ、自分にぴったり合うものを一から考えて、それを長く愛用しながら使い続けること。そして年数が経過していくごとにお手入れしながら循環させていくこと。こんなお買い物の仕方がこれからのトレンドになってくれたらも良いなと思います。

K様、このたびはご遠方からのご注文、誠にありがとうございました。

ぜひこれからもメンテナンス含め、心地よい睡眠のサポートができれば嬉しいです!